皆さんは、上の画像のモニュメントを見たことがありますか?
私は、「巨像が怖い」みたいなタイトルのネット掲示板で、
世界の色々な巨像が貼られていく中の1枚で見たことがあります。
この像はどうやらクロアチアにあるようです。
ヨーロッパを周遊旅行していた2019年6月6日、
せっかくの機会だからとクロアチアまでこの像を見に行った時のことを振り返り、
記事にしておきたいと思います。
モニュメントのある場所と行き方
この像は、
クロアチアのPodgarić(ポドガリッチ)という村に存在しています。
私はクロアチアの首都ザグレブに滞在していたのですが、
車があればザグレブから1時間半もかからず行けます。
……が、私は車も免許も無いので、
ザグレブからPopovača(ポポヴァチャ)という村まで電車で2時間半かけて行き、
そこから4時間歩いてモニュメントまで辿り着くという方法をとりました。
当時はこれといった目的もなく旅をしていたし、
1つのモニュメントを見るためにそれだけ歩くというのも、良い思い出になるかなと思ったんです。
ザグレブ駅〜ポポヴァチャ駅

まずはザグレブの駅”Zagreb Glavni kolodvor”から電車に乗ります。
スーパーで買った2リットルの水を2本と、
食料のパンやクッキーもリュックに詰め込んで、長旅の始まりはじまりー。

首都の駅だけあって、電車も人も多い。
目指すのは”Popovača”駅。

どことなく東京のプラットフォームっぽい?
西武新宿線とかあの辺の。

乗る電車がやってきた。
物凄いラクガキ(笑)
同じ駅でもやってくる電車の見た目に統一感が無いのは東欧あるある。

怖い…。

電車内。ガラガラ。

約2時間半の長旅。
のんびり車窓でも見ましょう。

車窓の景色。
のどかな緑の風景が続いていて、建物もどことなく可愛い。
ポポヴァチャ駅〜ポドガリッチ

ポポヴァチャ駅に到着。

プラットフォームが狭くて低い、田舎によくあるタイプ。
ちょっと危ないけど、開放感と風情があって良い。

次にこの駅に戻ってくるのはおよそ8時間後。
ここから長い長いハイキングだ…。

ポポヴァチャ駅から巨像まではほぼ一本道。
方向音痴なので助かる!

駅周辺はのどかな街並みで、民家も見える。

畑?
何を植えているんだろう。

少し歩くと見えてくる、ここの環状交差点だけ分かれ道ではあるけど、

ポドガリッチの看板の方へ進んで、
あとは車道をひたすら真っすぐ歩いていけば大丈夫。

分かれ道があっても、
一番道幅のある車道をひたすら進んでいく。

途中途中で小さい村のようなものも通過していく。

道端に男の子のお墓?
墓地ではなくここにあるということは、
この道路で亡くなったんだろうか…。

教会?
サイズ的に聖堂かもしれない。

真っ直ぐ進んでいるだけでも、
結構色々なものと遭遇します。
今度は、謎の人物の胸像。
くびれてるのがなんか違和感ある(笑)

建物が何もなくなって、
開けた坂道に出る。

ロードムービーに出てきそうな道!!
あえてド真ん中を歩いていく。

食料のパンを食べながら、ひたすら歩いていく。
ここは坂道になっているから、少しきつい。

時々車とすれ違うんだけど、
大体は中の人が「あの人何してるの?」みたいな顔で見てくる笑
確かにこの道を歩いてる人は奇妙かも…。

ポドガリッチの看板が見えてきた!
ここまで来れば、モニュメントまではもう少し。
ポドガリッチ・モニュメントまで到達

ポドガリッチに入りました。
この村は巨像の他にも、
湖が観光スポットらしく、
ほとりにホテルのような建物もあった。



のどかな農村の風景を通り過ぎていく。
そして…

見えてきた!!
ネットの画像でしか見たことがなかった、あの像!

像のもとへ行く入口はここらしい。
青い4本の棒は、もともと旗を掲げていたのかな?

看板はかすれていて、ほとんど読めない。
いよいよ、間近でのご対面…!



対面したときは、
ここまで来たー!という思いだった。
4時間歩いたという意味でもだし、
昔ネットの画像で見ただけの巨像を、
こうしてクロアチアまで実際に来て、今目の前に立っているという意味でも。
夢は叶う?思いは現実化する?
なんか陳腐だけど、そんな感じの気持ち。
この巨像の正体

この巨像は「モスラヴィナ人民革命記念碑」といって、
第二次世界大戦の記念碑、
もしくは戦争の犠牲者を弔う慰霊碑として
旧ユーゴスラビア各地に作られたモニュメント群”Spomenik”のひとつ。

1950年代から1980年代にかけて、
2万〜4万個のSpomenikが建設されたものの、
その後の紛争や、反対勢力による破壊活動の影響で
現代でも保存されている作品はごく一部なのだそう。

ポドガリッチもかつては激戦地で、
像が建っているこの場所には野戦病院があり、
ナチス・ドイツからの侵略に抵抗したレジスタンス「パルチザン」の
兵士約900名を弔っているみたいです。

この両脇の盛り土の下には、兵士の遺体が埋葬されているのだとか。

後ろに回り込んで、裏側から撮影。
形のモチーフは、
古代オリエントで勝利のシンボルとされた「翼の生えた太陽」らしい。
目だと思っていたのは太陽だったのか。
左右が非対称なのは、羽ばたいている躍動感を表しているとのこと。
犠牲になった人々を生み出しながらも、
パルチザンと旧ユーゴスラビアは最終的に勝利したので、
戦死者の慰霊と同時に、勝利を記念するモニュメントでもあるということ。

僻地だけど、
それなりに観光に訪れる人はいるらしく
落書きも見られる。

モニュメントの周りは静かな山地。
近くには美しい湖もある。
Spomenikはアート作品としての性質も強い記念碑で、
この他にも面白い形状を持つ様々なモニュメントが
いろいろな国に点在しているので、
もし良かったら調べてみてください。
南欧・東欧旅行をする際、案外近くにあるかもしれませんよ!

記念ツーショット。
自分の人生の中で誇れる出来事の一つになったと思う。
余談として、帰り道のエピソードを2つ。
モニュメントを見終わってさぁ帰ろうとした際、
水の残量がかなり心もとなかったので、
近くの民家の前で水撒きをしていたおじさんを見つけて
「ボトルに水を入れてもらえますか?」という文を
スマホでクロアチア語に翻訳して見せたら、
無表情で頷いて水を入れてくれた。
これは本当に感謝!
そして、帰り道に再び4時間の徒歩を覚悟して歩いていると、
後ろから赤い車がやってきて、
中に乗っていた女の子二人組から英語で
「どこに行くのー?」と聞かれた。
「ポポヴァチャ駅に」と答えると、
「もし良かったら乗ってもいいよ!」と言ってくれたので
お言葉に甘えて、駅まで乗せてもらった。
車の中にはもう一人、おじさんも座っていた。
女の子曰く「この人はマルコっていうの。英語は話せないんだけどね。ふふふ」
おじさんは無表情で僕のことをじっと見つめてきた。
彼らの関係性は、謎(笑)
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